令和5年6月9日 更新

「髙橋啓一氏収集資料」の利用について

現物を利用するには事前に申請書を提出し,利用許可を取る必要があります。

髙橋啓一氏収集資料

髙橋啓一氏収集資料 表紙

点数:962点

目録:「髙橋啓一氏収集資料」目録(PDFファイル:805KB)

 

 

(令和5年[2023]6月9日 貴重資料指定)

 本資料群は、むつ市の資料収集家の髙橋啓一氏が収集したものであり、令和4年5月30日に寄贈を受けたものである。髙橋氏の収集は大きく分けて、①青森県の歴史に関わる主に近世から近代にかけての古文書類、②石器を中心とした考古資料、③むつ・下北地区の歴史・文化に関する近代以降の資料、に分類され、①が本資料群である。②は本学人文社会科学部北日本考古学研究センター(平成30年12月寄贈「髙橋啓一氏収集考古学・歴史資料一式」)、③はむつ市教育委員会(令和4年12月寄贈「髙橋啓一氏収集資料一式」)で管理・活用されている。

 本資料群はいわゆる歴史愛好家による収集資料であり、一つの家や藩・行政機関などに所蔵・管理されてきたものではなく、本来の所蔵先や内容は多岐に及んでいる。ただし、髙橋氏は本県の歴史研究に詳しく、その収集資料は、これまで明らかにされてこなかった分野に関するものが多く、いずれも、今後の歴史研究に大きく裨益するものと言える。年代的には近世中期の17世紀末頃~明治中期の19世紀末頃までの資料群であるが、明治維新をはさむ近世から近代にかけての転換期の資料が大半を占める。また、農村の土地移動や、商家の取引関係が多く、全体として、藩政資料や行政資料に拠ってきた本県の歴史研究においては、研究蓄積の少ない維新期の民衆動向がうかがえる貴重な資料群として位置づけることができる。津軽地域の資料が8割以上、南部地域が約1割と偏りはあるが、資料的価値に差はほとんどない。県外資料が約15%(137件191点)程含まれるが、本県資料との比較検討に役立つ資料であり、髙橋氏の収集意図がうかがわれる。なお、いずれの資料もこれまで資料集や論文等に掲載・引用されたことのない初出資料であり、この点からも貴重な資料群と言える。

(弘前大学教育推進機構 特任教授 瀧本 壽史)